こんにちは。画家の田村勇太です。
今回は2021年3月15日〜3月20日に行われた僕の作品展「ヘヤニボタニカ」について、
その作品展を開くことを決めた時から作品展が終了するまでを時系列にまとめてみました。
1 読み物として面白くなればいいなー
2 今後作品展を開こうと思っている人の参考になればいいなー
この2つのモチベーションで書いていきます。
ではどうぞ!
開催場所を決定!
2020年の末ごろから開催場所を探し始め、2021年1月に場所を決定しました。
場所の条件としては、
神戸市周辺(毎日在廊したいと考えていたので地元がいいと思った)
作品数を多く展示できる(テーマに合いそうな作品が既に沢山あったので)
堅苦しくないところ(ギャラリーに普段行かない人も来てもらえるような感じでもいいかなーと。)
こんな感じです。
そうして何軒かギャラリーを回って、ちょうどいいんじゃないかという場所を見つけました。
神戸三宮のギャラリールナというところ。
ここはルナ画材さんが提供している貸しスペースです。
画材屋さん提供だけあり展示がしやすい条件が揃っていました。
路面に面したスペースで、人通りは悪くない感じ。
ガラス張りなので通りから見えるように絵を展示することができる。
店内はほとんど正方形な形でオフホワイトな壁色。癖のない部屋なので展示する作品を選ばない。
小さめの部屋ではありますが、今回小さい作品をたくさん並べようと思っていたので全く問題ないかなと。
虫ピンなら壁に挿してもオッケーとのことだったので作品数もたくさん展示できる感じで条件クリアでした。
ただし、まあここが今回の1番のハードルなのですが、今回画材屋さんの方は完全ノータッチだということです。
→「ギャラリー側がどれだけ運営に関わるか」ここは必ず確認しといたほうが良いですね。
要するに1週間の会期中、僕が在廊していないとずっと無人だし、売れてもお店のレジは使えない。本当に貸すだけ。のやつ。
これは毎日在廊必須。その時点で展示できる人を選ぶ案件ですよね。それにノータッチとなると、こっち側で何から何まで全部用意しないといけない。
普通の個展を開くよりハードだろこれ。
上の条件でしたが、まあなんとかなるだろうということで予約をしました。運よく近い日程で空きがあったので3月15日からの1週間。頭金を少し支払う。
これでもう後に引けない。ここから怒涛の準備祭りだ。
まずは当日までにやらなければいけないことをリストにまとめよう。
・作品を販売できる状態にする
・設営に必要な道具などを用意する
・DMを作って各所に送る
その中でもまず一番最初にやらないといけないことは作品を販売できる状態にすること。
作品を販売できる状態にする
僕の作品は額装していない状態でも飾れるようにしているものがほとんど。
ニスを塗ることと、作品の側面に水張りテープを貼ることで額装なしでも十分美しくなる。と思っています。
なので今回も展示作品のニス塗りと水張りテープ貼り作業を最初に片付けることにしました。
額装するか しないか問題
ところで画家側にとっての額装なしのメリットは、額装の作業が必要ないこと。
額装自体は簡単なのだが、作品ごとに毎回の額縁を選ぶという作業、これはかなりの労力を必要とする。
自分で額縁を作る人もいるが(これができれば作品にとっては一番良いかもしれない)、僕は額縁を作る時間があるなら絵を描きたいと思うタイプなので、それもない。
次に額装なしなら圧倒的に作品の重量が軽くなることもメリットだ。
これによって展示の仕方に幅が広がる。
小さい作品なら(だいたい4号くらいまでなら)ちょっとしたピンだけでも展示ができるので色々と用意しなくて済む。
これはお客様にとってもメリットで、家に飾る時に気軽に壁掛けができるということでもある。
額縁なしの場合のお客様側のメリットは純粋な作品のみの金額で購入することができるということ。
あらかじめこっちで額縁を選んでも、結局その額縁代というのは作品代に乗っかる形でお客様に請求されることになる。
もともと作品代が20000円として、額縁を買うのに10000円かかっていたとしたら当日の作品代は30000円〜になる。
高価な作品ならまだしも、結構お買い得な作品の上に額縁代金を乗せるのって正直どうなの?と思わなくもない。
額縁があれば高級感はあるし、見栄えも良くなる。ただし、仰々しさも増す。
この辺はお客様の好みによって決めるべきことであって、あらかじめ額に入れて、その分の金額を上乗せするという必要は絶対必要ということもないんじゃないかというのが個人的な意見。
しかし日本の現状でいうと、額縁なしで絵を飾るという価値観がまだあまり浸透していないらしく、額縁なしの作品を見て「こんな裸の作品をどうやって飾ったらいいか分からない」みたいな感想を仰る方も結構いるらしい。(あるギャラリーのオーナーが言ってました。)
なので額縁いる or いらないは結構難しい話でもある。
話が脱線してしまいましたが、作品にニスを塗って水張りテープを貼るという作業、延々とやりました。多分60点くらい。
60点も連続して作業すると、水張りテープを貼るのがとんでもなく上手くなりました。ww
小さい作品はこれで終わり。
大きめの作品は壁掛けフックで展示する予定なので、さらにパネルの裏面に紐を通します。
これで作品は作業完了!!
ここからは設営に必要な道具を揃えていきましょう。
まず最初に考えたこと、
それは
支払い方法どないしよ。
1 現金のやり取りはできる。
2 クレジットカードは無理。(これは個展中のある出会いで解決することになります)
3 銀行振込は後々トラブルになる可能性があるのでやめとこ。(支払ってくれないとか)
4 ペイペイは確か個人間の送金できるよね?やったことないけど。
ってことで支払い方法は現金かペイペイに決定。ペイペイ使えそうな人だったら提案してみよう。
現金支払いしてもらうにはこっちもお釣りを用意しなきゃダメだよな。
支払い関連の準備リスト
釣り銭(銀行で両替)
釣り銭を保管するボックス(アマゾンで購入)
領収書(100均で購入)
とりあえずこれでいいか。
次に、
店内には作品以外に何を置こうかな。
プロフィール
今回の展示のコンセプト
作品のキャプション
芳名帳
ポートフォリオファイルもあったらいいかな
今回の簡易的な作品リストもあれば便利かも
このくらいかな。
僕のことを知らない人が来ても楽しめるような空間を作る。これを軸にして準備を進めていきたい。
そうなるとプロフィールと今回の展示のコンセプトを説明する文章は絶対必要かな。
プロフィールやキャプションなどを作る
プロフィールや展示のコンセプトを説明した文章を用意するのは必須だと思います。作品だけでなく、自分のことをよく知ってもらうことは「作品を販売する」という観点から見て重要です。
一般論としてお客様は知らない人よりも知っている人から買い物をしたいものです。だからお客様に対して自分のことを知ってもらい、存在を近く感じてもらうという作業はとても大事です。
そして作品のキャプションももちろん必要。
今回の展示は作品ごとに解説する文章を入れたかったけれど、今回小さなスペースで目一杯の作品を展示しようと考えているのでそこまで書けるスペースはない。
ただし、大きめの作品はそれぞれ間隔を取りながら展示する予定なので、そういった作品なら解説文章を載せる余裕はありそうということで作品の説明文を作りました。
芳名帳を作る
今回は芳名帳も自分で用意する必要がある。今後もお客様と繋がるためのものなので芳名帳はとても大事。
芳名帳って要はお客様の名前と住所などを書いてもらう帳簿みたいなものなので、言ってしまえば普通のノートをそれ用に改造しても成り立つ。
でもお客様が書くもの & 作品展に置くもの なので、チープな感じは雰囲気に合わないし、お客様の大事なお名前とご住所を書いてもらうのが安物の適当なノートだと失礼な気さえする。
やはり多少はしっかりした見た目の芳名帳を用意するとしよう。
ということでネットで探してみた。
しかし、芳名帳ってネットで探してみても冠婚葬祭用のデザインばっかり出てくる。芳名帳のニーズはやっぱりそっちですよねと実感。
色々見てみたが結婚式用のものはカバーは素敵なんだけども、書いてもらう用紙のデザインがお祝い感が強すぎて作品展で使うにはちょっと変な感じ。葬式用のものはシンプルなものが多く、使えるっちゃ使えるけども僕の作品テイストに全く合っていない。和風な展示を企画するならいけそうなやつはあるのかなとは思った。
とにかく、ちょうどいいものが見つからない。
それから数日間。さぁどうしようかなーなんて考えていたところ、ふと立ち寄った近所のリサイクルショップで芳名帳のカバーを発見。中の用紙は別売りのタイプっぽい。おそらく結婚式用のデザインで、押しも強くなくちょうどいい感じのデザイン。もちろん未開封の新品。
こんなことある?ちょっとした奇跡よね。え?50円?買うでしょ。
結果これ以上ない形で芳名帳のカバーをゲットできた。芳名帳を探してなければ目にも留まらなかっただろうな。ご縁だね。
人はアンテナの張り方によって見えるものも見えないし、見えないものも見えるようになるのだと実感した出来事でした。
そして中身の用紙はそのカバーのサイズに合わせてパソコンで自作しました。
あんまりそういうの得意じゃないんだけど、名前と住所を書く欄だけ作ればいいので大した作業じゃなかったのが救い。
これで芳名帳はクリアした!!なんか絵以外の作業ばっかりしてる気がするぞ!ww
ポートフォリオファイルを作ろう
これは作ったのだけれど、今回の展示には持って行かなかったので割愛します。
スペース的に置くところがないんじゃないかなーということと、ギャラリーの雰囲気から考えてあまり必要ないだろうということで今回は置きませんでした。(実際に過去作品を見せてほしい的な意見は会期中一度も頂きませんでした)
簡易の作品リストを作ろう
これはお客様に見せる用というよりは、自分が作品管理をするために作るやつです。
これがなぜ必要かというと、今回の展示では作品は売れたらその場で持って帰ってもらう方式を採用したかったので、
作品は多めに持っていく必要がありました。
具体的には会期中に常時30点ほどを展示していたのですが、売れても即補充できるようにその倍の60点ほどをギャラリーに持って行きました。なので自分がどういう作品を在庫として持っているか自分で認識しておく必要があったのです。
↓↓
結果的にこのリストはすごく役に立ちました。
在庫補充がスムーズに行えただけでなく、このリストを見たいと言って、そのリストに載っていた展示されていない在庫の方の作品を買ってくれた方もいました。
ただこのリストは会期中作品入れ替えを行わないのであれば必要ないものだと思いますので、必要に応じて作成すればいいかなと感じます。
展示会場に置くものはおおよそこれでオッケーです。
DM(ダイレクトメール)を作ろう
上の用意と並行してDMを作りました。
展覧会情報に加えて裏面には簡易のプロフィール(顔写真付き)も加えました。
DMにプロフィールを入れる方は少ないと思いますが、僕は少々無理にでも入れたほうがいいと思っています。(理由は前述の通り)
「届いたDMの出来によって行くか行かないか決める」
と言っている知人もいるくらいなので、DMデザインはこだわっていきたいところです。
今回はデザインは自分で考え、データ作成はそういうのが得意な友達に任せました。
出稿はラクスルで依頼。ラクスルは出稿からお届けまでの日数で料金が変わるのですが、
依頼から1週間くらいのタイムラグを設定するとラクスル内での最安くらいの料金で依頼できます。
今回は会期1ヶ月前に400部刷って家に届きました。
会場を決めたのが会期2ヶ月前だったので結構頑張った方だと思います。笑
ちなみに400部、両面カラー印刷で2000円代後半で作成できました。安いなー。
さて、DMができたらどんどん配っていきましょう。
DMの配り先
DMの配り先は以下の場所が挙げられます。
開催場所
近隣の店舗・ギャラリー
知人
既存のお客様
メディア系
開催場所
開催場所にはたくさん置いてもらいます。→どうせ会期中に回収して会場に置き直せるので多めに渡しておいた方が無難です。
(会期中来られた方でもDMが欲しいという方はたくさんいますのでその分も確保しておくのが良いです。)
近隣の店舗・ギャラリー
これも置いてもらえれば効果があると思います。ギャラリーの人に置いてもらえそうなお店がないか聞いてみてもいいですね。普段から交流のある店舗やギャラリーを紹介してくれるかもしれません。
というか普通は紹介してくれると思います。ギャラリーも自分のところの宣伝になるので。
知人など
知人にもどんどん送りましょう。1枚だけではなく数枚まとめて渡すと良いと思います。
そうすると他の人にDMを介して紹介してくれたりという事に繋がっていくはずです。
既存のお客様
既存のお客様がいる場合はその方にもお送りしていきます。むしろ過去に購入してくれたお客様が一番あなたの作品展を楽しみにしてくれている人だと思いますので必ずお送りしましょう。
メディア系
これは新聞社、テレビ局、ラジオ、情報サイト、雑誌などですね。
この辺はダメ元、取り上げてくれればラッキーくらいに思ってどんどん送った方がいいかなと思います。
DMと手紙を同封して、
「こんな感じの展示をやる予定ですので掲載のご検討お願いします」
的な感じでいいかなと思います。
手紙の内容は、会期とか営業時間とか、どんな絵を何点展示するとか。
具体的な情報をしっかり記載した方が良いです。
ただし文章量は長くなりすぎないほうが先方に配慮があって良いと思います。
今回僕もこの方法で情報サイト数件と新聞に掲載いただきました。
今回掲載いただいた新聞社は1社でしたが、それでも「新聞見ました」と仰る方がいらっしゃったので、やらないと損だと思います。
最後に、色々送った上で余ったDMは近隣の住宅にポスティングするという手もありますが、今回僕はやりませんでした。
ちなみに今回は400枚刷って50〜100くらい余ったんじゃないかなという感じです。
DM以外では僕は普段からインスタグラムで投稿しているので、そこで何回か告知をしました。
インスタグラムを見てお越しの方もいらっしゃって、そうやって繋がれるのはとても嬉しかったです。
ということで、やることはやったのであとは当日の設営を待つだけとなりました。
長くなってしまったので個展開催初日からの記事は次に回します。
今回もお読みいただきありがとうございました!